SF好きで知らない人がいるだろうか、というほどファンの多い作品。そしておそらく田中芳樹著作の中で最もシリーズ構成がしっかりしている作品(笑)。 盲目的に愛するたった1人の女性を取り戻すため野心を抱いた若者が親友と共に全宇宙を動かしてしまった。よくこんな架空大河歴史を作れるな、と思うほど人間くさい歴史を考え、完成された物語。スケールの大きさもさることながら、人物造形もしっかりしていて魅力的な登場人物が多い。2度アニメ化されてるが、最初のアニメは1人の声優が1人の人物、という決め事だったらしく、しまいに声優がいなくなったんだとか。好みは人それぞれだけど私は最初のアニメの方が好きで、セリフがアニメの声で脳内再生されることも。 友達から借りたのは高校生の時で、間違いなく私の考え方に多大な影響を与えた作品。社会的なこともたくさん書いてあるし、わざと難しい言葉を使っているけど、これだけ考えさせる本をそれまで読んだことがなかった(それまでが浅い読書だったとも言えるが)。有能な君主の専制政治か、衆愚政治に陥る可能性もある民主政治か。楽ではないけど長い目で見て自分達が「損」をしないようにするにはどうするか。政治の「裏」にあるものを見抜いて何を選択するか…。目一杯頭使って読んだけど、個性的なキャラクターと話の展開の面白さで全然飽きなかった。読んで良かったと思える作品の一つ。