ネタバレ・感想ありあどけない熱のレビュー

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孤独に生きる受け・一途な攻め(読み放題)
ネタバレ
2025年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 孤独に生きている不遇な受けが大好きです。不憫受けの中の重要なカテゴリとして「ぽつねん受け」と名付けています(勝手に)。

ぽつねん受けが攻めと出会って幸せになるお話が好きです。本作もまさにそれです。ストーリーは大きく2部構成、前半が2人の出会い、後半が10年後です。15歳だった攻めが一途に受けを想いながら25歳になります。良い…!

と、こういう展開のお話は他でいくつか読んだことがない訳でもないのですが、後半が予想した展開と違って、いい意味で裏切られました。切な〜い!攻めが切ないやつやこれ!不憫攻め。
と言うわけで、後半の切ないターンがとても良かったです。

ところで、受けが「カイネ」という美しくミステリアスな名前で、前半はずっとカイネ表記なのですが、後半漢字が明らかになり漢字表記になります…これが某ミュージシャンと同じ漢字で、どうしても読んでてそっちの読み方をしてしまう。「エノ…ちゃうちゃうカイネやカイネ」という脳内訂正作業。トホホ。

作者様の他作品と比べると、やや暗いトーンのお話なのかな?私はこの暗さが好きでした。
作者の久我有加先生は先月ご病気で逝去されました。
ご冥福をお祈りします。
寂しさで結ばれる孤独な二つの魂
ネタバレ
2023年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前半の『宵待草』は4月、中学3年生の宇田川聖が私立中学についていけなくて塾に行かされているところから始まります。それでも成績は上がらず、真面目な聖ですが、ついに塾をサボってしまいます。塾に近い繁華街にある小さな公園に置かれた鉢植えのクロッカスを見つけた聖は、それを置いたカイネと知り合います。近くのスナックで働くカイネは端正な容貌で草花の名前に詳しく、聖は5つ年上のカイネのさりげない優しさに惹かれてゆくのでした。思うように上がらない成績と、成績以外聖に関心の無い両親とで孤独を囲っていた聖は、カイネの存在で成績を上げ、カイネの為に自分から動くようになります。謎めいカイネを助けたい、カイネの力になりたいのに、中学3年生という中途半端な年齢の無力さに聖は足掻き苦しみます。そしてそれが恋だと思い知り、その想いは次第に熱を孕んでクライマックスへと昂まってゆきます。そこからカイネが姿を消した後の静けさが、ラストのエモさを効果的に演出します。『二人静』は10年後の二人のお話になります。いずれもひたすらカイネだけを想い続ける聖の変わらぬ一途さと心の成長が淡々と描かれます。
ヨミホ 小説 重め
2023年10月9日
中学生14歳ヒジリと19歳カイネの話で、後半はその10年後。小説。久我さん好きでヨミホで読めるのを順番に読んでます。今回はイラスト樹さんで、なかなか聖とカイネのイメージが湧かなかったけど挿絵や表紙に助けられました。久我さんの小説は何冊か読んでるけど、本作は終始暗めで、常に曇りがかかって暗雲立ち込めてる雰囲気で、珍しいな?他の作品はも少し明るい雰囲気だった気が…。14歳聖がカイネを救いたくてあがき、でも現実を目の当たりにし、自分の非力を思い知り、それでもできることをやっていく意思の強さには心打たれるし、非力だった子供が力をつけて成長していくのは読んでてゾクゾクする楽しさがあった。力といってもスパダリになって大逆転でカイネを救うわけでなく、地道に生活力を身につけて、ただひたすらカイネだけが好きという変わり者で。対するカイネは辛すぎる境遇に生きてくだけで精一杯で、ヒリヒリする空気がずっと続いて、あまりカイネの感情は見えない。レビューが少なく、どんな話なのか気になって読了したけど、サクサク読める感じではなく、じっくり読み込んでいく重めな話でした。
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作家名: 久我有加 / 樹要
ジャンル: ライトノベル BL小説
出版社: 新書館