20歳で死んで15歳に戻るのを6回繰り返した結果、知識の宝庫になった…という設定は、まあ、分かります。正直、たった5年で各分野のスペシャリストになったってのはかなり無理があるとは思いますが、そこはご都合主義ということで置いておくとして…問題は、そのご都合主義がいきすぎていること。記憶を引き継ぐ形でループするので、知識の面はまだ分かります。が、前世でたった5年騎士として生きただけの元ご令嬢が、リセットされてるはずの身体能力をもってして、他の追随を許さない化け物レベルに武力が高いってのは物理的に無理があるのでは?しかも、王子妃になる予定で幼い頃から忙しかったであろうご令嬢ですよ。たとえ死ぬ前から武術を学んでいたとしても、その道専門で長く生きてきた屈強な騎士より強いとはこれいかに。これについて、本文中に納得のいく説明が一切ないおかげでヒロインがただのテンプレなろう主人公に成り果てており、面白いはずのストーリーまでもが陳腐に見えてくるという…非常に残念な結果に。
ただ、主人公を最強にするための超ご都合主義なトンデモ設定以外は、なろう作品の中では面白いほうだと思います。女主人公ものにありがちなヒロイン至上主義ストーリーではないし、若干逆ハーの気配はあるものの、主人公からの矢印がヒーローにしか向いてないので、苛々悶々とすることもない。なにより執筆にあたってわざわざ専門書を読まれているそうなので、ストーリーに行き当たりばったり感や適当さもあまり感じません。主人公の設定さえまともであったなら、星5をつけたかったです。
そのあたり気にしない方で、戦記物とかがお好きな方は楽しく読めると思います。