テンポのよさ、展開のスムーズさが長所の秀作。まあ、面白いとは思う。ただ、傑作とか名作ではなく、秀作。
あと、低評価する人の気持ちもわかる。
理由はいくつかあるけど。長く売りたい感がすごいのが一番かな。売れない要素をできるだけ排除しつつ論理的に崩壊しないという感じ。著者の性別とかを伏せてるけど、男性、中年以上という感じ。北斗の拳のパロディとかあるし、基本的にキャラが男性はわりと人間ぽいけど、女性は理想っぽいし。それはたぶん、そのほうが売れるからじゃないかと。あと、人に従事とか誤用があったり。食とエネルギーが重要というのは教科書っぽいんだけど、ただ、それでいくと道も軍事設備だから。まして他国への道の整備はヘタしたら謀叛って言われてもおかしくないわりに扱いが軽かったり。公爵って基本的には皇族でしょ、と思ったり。よく調べてるんだけど、ところどころに浅い感が見受けられる。
あと例えば、獣人国で、部族の代表者が争って上を決める国、他でみる設定とかがチラホラ。乙女ゲーとか内容にほぼ関係ないのにタイトルに入れてるのって、売りたいからかな?
あと、倒せるのに倒さない的な、相手に思い知らせる的な、なえるエピソードをやってた。なえるエピソードは避けてるっぽいうまさがあったけど、それは珍しく、かな。命のやりとりのときの思い知らせるとかのグダグダなやりとりって、完全に優先順位を間違えた悪手。その前に味方が死んでるし。これ以上の味方の犠牲、味方の犠牲の意味を無くす可能性より、自分のこだわりを優先するという読者な嫌悪感の生じる展開であり。論理的な整合性はとるように、そういう読者が嫌悪しやすい展開はうまく避けてる作品だったから珍しいミスではある。
展開とかがスムーズで、基本的には面白いけど。わりと文字数稼ぎたい感とか、引き延ばしたい感とか、売りたい感とかがとてもみえるので。嫌いな人は嫌いでしょうねと思う感じの作品。人気作の要素を掛け合わせた感じで。ただ、そういう作品だと完全に論理崩壊してるものも多い中でなんとか整合性はとれてるから、そこまでひどくはない。
ただ、要領よく組み合わせた感が強く、新しいなにかを産み出した感が薄い作品なので。反発する人の気持ちもわかる。AIに思うところが多少は出るのと似た感じかなと。
ただまあ、基本的には面白い。でも、面白いんだけど、思うところはけっこう出る作品。