巷にあふれる「悪役ナントカ」のたぐいかと思っていましたが、悪役って誰ですか~と思うほどのいい子ちゃんでした。いい子ちゃんが嵌められて悪役令息と呼ばれてしまいましたが、お話しの上ではほんの一瞬。タイトルを御一考頂きたいほど短いものでした。ほんと、いい子ちゃんですよ。
第2王子の婚約者として、幼い頃から制約だらけの生活でした。王子のため、完璧でなければなりませんでした。学園生活で、平民出身の男爵令嬢と出会いましたが、人の良さからあれこれと世話を焼いてしまいました。礼儀作法に特化したそれは、王子のそばにいても恥ずかしい思いをしないようにとの老婆心からですが、当事者たちは快く思わず、排除しようと動きます。ソレが、一国の中枢に近くあれば、ことはさらに陰湿に、政治への影響力もあいまって、人一人の命もゴミクズのように扱われてしまいました。その人の真なる力を忘れ去られたこと、軽んじられたことが、その国の未来を閉ざしてしまいました。
かえって、いっそうの繁栄を約束されたも同じの帝国は、その政治の中枢を担う人々がそのひととなりに独特の癖を持っていても、筋が通っていることで瓦解せず、国を支えています。そこに座する皇帝は大変でしょうけど。
主人公たちに沿ったレビューではありませんが、裏を透かすようにしてみると、発見にあふれています。