ネタバレ・感想あり古書店夕海堂~色褪せないかつての楽園について~のレビュー

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静かに流れる2人の時間
ネタバレ
2025年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 東京のなかの静かな古書店。
もう、すでに雰囲気がよいです。
そこで、店主のかわりに夕海堂を続ける小鳥。
なんというか、雰囲気がかわいらしいのもあるけど、はじめて知る恋に戸惑いながらも、素直に伝えようとするところとか、恋人になってからの更なる天然ぶりとか、本当に大事にしたいと思う宗一の気持ちが手に取るようにわかる存在です。
2人の恋愛のゆっくりさも、2人にあっていて、柿がある庭や、胡椒のなかにある恋愛ものの小説のこと、秘めたる店主の恋など、もうどれも素敵でした。
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癒やされたいときに…。
2025年3月2日
純文学を読んでいる気分でした。物語の焦点はこの古書店の代々の店主(受けは三代目で全員血の繋がりはない)と、この古書店で何十年と売れ残っている本の恋の行方。辛い恋はもうセピアに色付いていて、今の恋に陰りは落としません。二人はゲイなのかそうではないのかもわかりませんが、そんなのはどうでもいいのかもしれません。上質ないい気分にだけ浸れるノンストレスな物語。
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しっとりとした初恋
2025年1月4日
古書店での攻めと受けの出会いも攻めの祖父と前店主の関係は悲しいけど、ひっそりと落ち着いた雰囲気で作風も最後まで素敵でした。2人のやりとりが終始穏やかで、でも積極的に手土産を片手に訪れる攻めが押し付けがましく思えるけど、毎回急な訪れを喜ぶ受けも可愛くて不思議な感じで見守りながら読んでいました。ずっと会話もエチも敬語だけど、死ぬまで死んでも一生離れないという気持ちは激しくてよかったです。
庭の柿の皮を剥く攻めと祖父の姿が重なるラストに悶えました。
とても静かな恋のお話でした
ネタバレ
2024年3月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『元愛人と年下の犬』を読んで、作者様が好きになりこちらもすぐに購入しました。
まずタイトルが素敵。そして、他の方のレビューにもあるように、優しく美しい文章で綴られていて、ゆっくりとした時間を過ごせました。
先々代と先代の恋の話は切なかった。野球の観戦チケットの裏の文字。押し入れの天井にしまっていた鍵のついた箱の手紙。涙が出ました。
宗一と小鳥くんは、連絡先を交換するのもなかなかできず、会話も相手を思いすぎてぎこちなかったり。お互い一生懸命なところがかわいくてよかったです。これから先もずっとあの古書店で一緒に過ごすんでしょう。
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幸せ
2023年5月20日
主人公の住む古書店の描写が美しく、自分も一緒に生活したかのように思えました。相手が唯一無二の存在だと思える恋愛が素敵です。優しく美しい文章、さすがです。一瞬で読みました。作者さまにはまた小説を書いて欲しいと思います。
ゆっくり流れる穏やかなお話
2023年4月2日
なんとなく購入しましたが期待以上に素敵なお話でした。小鳥くんと宗一さんもゆっくり穏やかに進んで行きます。が、その裏にある宗一さんの祖父さんと元店主の方の昔〜し昔しの切ない話が読みたくなりました。もし機会があれば書いて欲しいです♪
落ち着いたお話を読みたい時に
ネタバレ
2025年3月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても雰囲気のあるお話でした。静かな雰囲気の中、穏やかな人しか登場せず、ゆっくりとした時間の中でゆっくり恋が生まれて、、、というお話です。癒し効果のあるお話でした。
日常系作品
2025年1月17日
BLでこんな爽やかな読後もあんまないなーと思うぐらいにえろに慣れてた自分にビックリ(笑)ゆっくり進む人間関係、登場人物は少ないながらしっとりと進む時間。小鳥くんは名前の通りかわいく、でも天然発言で宗一さんを無自覚に煽るのがまたいい。時代により成就しなかった恋と現代の成就した恋の話が切なくも瑞々しい読後でした。欲を言うならこの後のラブいっぱいの2人が読みたかったのですがこの余韻もまた良いのかと。
しみじみと静かなお話だった。
ネタバレ
2024年2月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きな雰囲気だった。バイト先の古書店の店長が引退することになって、店を引き継いだ受け。店長も元々はバイトで初代店長から店を引き継いで80歳まで店を続けていた。受けが店を引き継いで暫くして、初代店長の孫が店に訪れる。そこからの二人の恋のお話。二人とも真面目でお堅いタイプで、そんな二人の初々しい恋模様が良かった。攻めは恋の駆け引きとかできるタイプじゃないのでひたすら真っ直ぐ押すのみ。その必死さが可愛かった。なのに事前に連絡して断られたら…返事が来るのをずっと待ってしまう…となかなか連絡先を交換できない臆病さもあったりして。攻めが友人に受けについて相談した時の「会う度に好きになるけど。どうしていいか、わからない。好かれたくて」という言葉も素直で好きだった。素朴でお似合いなカップルでした。
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セピア色に色褪せた時を刻む古書店
ネタバレ
2023年5月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前、女性が妊娠初期に過度のストレスにさらされると、胎児の男児が女性化するという話を聞いたことがあります。生物の持つ自己防衛反応なのだと考えられます。戦前戦後は正に女性にとって苛酷な時代だったでしょう。
適齢期になれば当然のように結婚をして子をなさねばならない時代はその後も続きましたが、今のように同性愛が認められるはずもなく、当事者はひた隠しにしていたでしょう。結婚をしないという選択肢は当時の人には無かったと思います。私達が思うより、多くの人が自分の心を偽って生きたのかもしれません。
夕海藤次郎と松本敏夫の間に流れた十年の幸せな記憶と距離的にも時間的にも遠く隔たって二度と会うことがなかったということ。そのことを、夕海宗一と椿小鳥は知ります。
人を恋する気持ちはゆっくりと気づけば芽生えてしまっているものです。想う相手が自分を想ってくれるという偶然は何ものにも代えがたい幸せな日々をもたらしてくれます。
しかしながら、『楽園』から夕海藤次郎は出ていかざるをえなかったというのが、副題から察せられて哀しいです。悲しい恋の物語を共感してくれそうな孫に話して晩年の心の慰みにしたのかもしれません。
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作家名: とらのとら
ジャンル: ライトノベル BL小説
出版社: 二見書房