実は、伊坂さんの本を読むのは初めて。それこそ先入観があって読んでなかった。やはり先入観は良くないと実感した。とても良かった。5編の短編集だけど、どこか繋がっているところもある。テーマはハッキリしている。小学生のときに感じた大人に対する理不尽な気持ち、勝手にヒエラルキーができる同級生集団、正直とは、正義とは。大人になった今、小学生のときに見えていた世界は狭いと感じるけど、小学生のときはそのとき見えている世界が全てで、そのとき出会う大人が全てだった。その中で、どう自分を構築していくか、大人や同級生から無遠慮にばら撒かれる先入観の海の中で、どう自分の船の舵を取るのか。どの短編も印象深かった。小学生の子どもに読んでほしい。そして「僕は、そう思わない」と自分自身と、自分自身の価値観や考えをしっかり掌に握ったままでいてほしいと思った。