この作品をホラーのつもりで読むか、ミステリーのつもりで読むかで、読後の満足感が違ってくると思う。
ホラーのつもりで読むならほぼ満点の作品だろう。薄気味悪さと得体の知れぬ対象への恐怖、『知らないからこそ恐ろしい、しかし知ってしまうことは更に恐ろしい』というホラー特有の恐怖心を描くことが非常に卓越している。
一方で、ミステリーのつもりで読むといまいち物足りない。読後には更なる謎が残されており、想像力を煽る分、結局残された謎が気になり少し消化不良の感がある。ミステリー特有の「すべて謎が解かれたスッキリ感」を期待していると若干肩透かしだが、それも読者自身が読後も考察を深める要素であると捉えるなら気にならないだろう。
物語の構成として編集者が謎を追っていく形式でもあったことから、私自身はミステリーとして読んでいたため、最後が少し肩透かしであったことから、評価は⭐︎4とした。
映像化作品がミステリーになっている可能性もあるだろうか…物語の裾野を広げやすい構成でもある為、観に行きたいと思う。