伊達きよ先生の小説は本当に優しい。他作品を読みすっかり大ファンになりましたが、社会的弱者、マイノリティ、虐げられている人々、孤独を感じ孤立している人、苦しみや悲しみや寂しさにじっと耐えている人…そういう人達へ向ける視線がとても優しいと感じる。だからそういう気持ちを少しでも抱えている人にはものすごく刺さり共感できる。「ビナイは何度も、何度も何度も、心を〇されていた」という表現は、そういう心情を理解できる人でなければ描けないと思いました。そういう人達が救われ報われるストーリーは、心が洗われ優しい気持ちになり、一歩前に進む力をもらえます。
運命の番だから結ばれたというよりは、知り合って互いにだんだん興味を持ち自然に惹かれ合うようになったところも良い。そしてそれが運命だったというような。
また、差別や偏見についてそれを信じる人達にとっては、間違いだと指摘される事も、信仰や人格を否定される事と同義であり、だからこそ差別や偏見の払拭は困難なのだ、と思い知らされるところも本当に凄い。
ライトノベルは読んだことがないとか、オメガバ設定が苦手という方も、ぜひ一度手に取って読んでみてほしい。文章もとてもわかりやすく映像が目に浮かび、とても読みやすい。単なる苦手感だけでこの世界を避けて知らずにいるのは、大きな損失だと思えるほど。漫画とはまた別種の満足感や充足感や没入感を味わえると思います。爽快感と多幸感に包まれる感動的なこの世界観に、ぜひたくさんの方に浸ってほしい。