このレビューはネタバレを含みます▼
とても面白かった。VRコミュニティで出会った二人。受けはゲイだけど攻めは元ノンケ。交際5年目にして育児体験プログラムに申し込むことに。VRの美少女アバター同士で出会って、受けは美少女アバターは大抵男だと思っているのもあるけど、ゲイなのに美少女の姿に惹かれてる?みたいな最近のVR世界で実際に起きそうなあべこべな恋愛模様が面白かった。甥っ子が生まれてアカチャン可愛いフィーバーな攻めと比べて、自分の人生には最初から関係ないことだからと子供を欲しいと思ったことがない受け。だけど攻めが喜ぶなら赤ちゃんを育てる生活も悪くないかもしれない。いや攻めが喜ぶから赤ちゃんが欲しいという思考もおかしい。と自分に芽生えつつある子供が欲しいかもしれないという気持ちと問答する描写が良かった。実際に養子を取れるかというと同性婚ができないし戸籍上の親子でもないしで難しい。そんな時にAIの人格に個性を持たせるための施策としてAIロボットの赤ちゃんの里親になれる機会が巡ってくる。あくまで疑似体験なんだけど夜泣きやミルク、排泄のタイミングも個体差があり結構大変で企業の研修とかにも使われているのはいいね!と思った。これぐらいリアルな体験を父親学級とか政治家にもしてもらいたいね。やってきた赤ちゃんのアキトは周囲の環境をセンサーで学習し、自身のボディの機能や動作の仕方も習得していく。たくさんのことを学習していくアキトに対して僕がアキトのことを心配するみたいに、人は一緒に暮らす相手のことを気がかりに思うってこと、わかるかな。たとえそれがロボットでも。という言葉が印象的でした。なぜなぜ期のアキトとの「死んでしまうとどうなるの?」という問答も印象的。「死んでも、コピーを出せばいい」と言うアキトにリアルな生き物はコピーできないんだよと教えつつも(いつかリアルな体もコピーできる日が来るんだろうか)と考えたり、今自分達の生活の中にどれほどAIが入り込んでいるのだろうかと発展し続ける科学技術に少し怖くなる気持ちの描写が良い。面白いSFでした。