ネタバレ・感想あり【全1-7セット】政略結婚のはずが、仇敵の氷の伯爵から過保護に溺愛されて困ってます!【イラスト付】のレビュー

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無自覚な恋から始まる、壮大な愛
ネタバレ
2026年9月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 川奈あめ先生の新作。読み終えた時、大作映画を観終えたような心地よい脱力感と満足感に浸っていました。
ヒロインは強い女性。といっても、よくあるやたら気が強い系の女ではなく、領主として有能かつ、最強の理力を持ち、凛々しくもクレバーさも併せ持つ女伯爵。モブ令嬢たちと一緒になって、「エイリュスさまあ!」と黄色い声をあげたくなる笑 そんな彼女も、実は幾重にも過去の傷を秘めていた。あの母親が極悪人でないところが、逆に辛い。だからこそ娘も縛られてきたのだろうし…。そんな誇り高い彼女を、最初は敵として警戒していたヒーローが、その傷ごと優しく包み込んでくれて……、読んでいて心底救われた。彼もまた、彼女によって、亡き兄への葛藤や領民との齟齬を乗り越えていく。出逢うべくして出逢った二人だったんだなと思う。あらゆる意味で対等な夫婦関係で、そこも良かった。
また、氷の湖面と謳われる伯爵ジークの恋心が、わりと序盤からダダ漏れし始めていて、本人は無自覚の行動なのですが、「いや、それもう好きじゃん!」と何度秘書官くんと共にツッコんだか笑 エイリュスが皆の期待に応え続ける強い女性だからこそ、ジークは過保護に溺愛せずにいられないんだろうなあ。川奈作品は『悪役令嬢の取り巻きA~』シリーズもですが、恋の描写が丁寧なのと、堅物男に色気があって良きです。
そんな領主二人が背負った、百年の諍いの歴史。結婚式でのすれ違いの悲劇は、シェイクスピアのようでもあり、エイリュスのとった決断は、圧倒的な筆力で、映画のように壮大な光景が目に浮かぶようだった。それに対しジークのとった行動も、優しくも悲壮な愛に溢れていて、涙が止まらない。大長編ながら一気読み必至の良作。TLハイファンタジー。cielo先生の挿画も素敵だった。
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