今さんの作品はいくつも読ませていただいていますが、BL作品はこちらが初めて読んだんじゃないかなぁ。初期作品なので古いですがそこが逆に新鮮でとても好きな作品。障害があってもスルーしてハッピーエンドを読み過ぎていたので、たまにこういう甘さやエロさ抜きのしっとりともどかしい話を読むのもいいです。
「いとこ同士」は罪悪感や背徳感に焦点を当てたお話で、妙に共感でき痛みがわかるので二人を見守りたくなる。明確な結論は出ていないけど折り合いをつけながら、この先も二人でいるんだろうなと思わせる作品でとても惹きつけられました。
「森の〜」も好きな話で、血縁関係の無い義理の叔父と甥っこの二人は、いとこ同士と内容が少し似ているんだけど、父と姉の赤ちゃんが産まれた事でその子を介して血が繋がり心が揺れる。心が疲れてしまった表現がとても好きです。
この二つのお話は生活に根付いた悩みだけにリアリティがあって、仄暗い話の中で主人公達がちゃんと生きている感じがとてもよく伝わるいい作品だと思います。
「レインコート」と「人魚」のお話は設定がとても魅力的でちゃんと読みたいと思わせる作品でした。