もうちょっとどうにかできなかったのかなぁ、というのが正直な感想です。
身分違いの二人が運命の恋をする、という王道ラブロマンスはとても好みでした。ファンタジーのような世界観も好きです。
ですが、せっかくの様々なおいしい設定が活かされないまま流れるように話が進んでいき、さっさと〆に入られたような印象でした。
恋愛過程ももっと丁寧にしてほしかったし、取って付けたようなエッチシーンもなんだかなぁ…と。
最後まで読むと要するに、宝石をキッカケに互いに運命的なものを感じて恋に落ちた、ということなんでしょうか。別にそれが悪いとは思わないし、オチを考えるととても素敵なラブストーリーだったと思うのですが、やはりオチに至るまでの過程がなんだか弱かったです。
運命の二人だったのね!ってな形で納得させるのではなく、読者が恋をして当然だと思えるような二人の魅力的な部分をもっと丁寧に描いてほしかったです。
ラピスが勢いで迫って、それにジェイドが応えて中途半端にエロいことをする関係になって、その後いとこの皇子の所に通ったり仲良くしてただけで結婚したいほどの愛が芽生えたと言われると複雑な気持ちに。というか、いとこの皇子くんは必要だったんですかね?
良いエピソード&ラピスとジェイドの優しさを表現しようと描かれたのは伝わってきたのですが、皇子くんがジェイドの正体に気付いて物語における大切な役割を果たすわけでもなく…。本当にただの、良い子のお話でした。ラピスとジェイドの恋愛とは全く関係なく。
二人の恋愛にはあまり関係ない皇子の話を沢山入れていたせいで、恋愛過程がより薄く感じました。
二人の恋愛を見ていても、なぜ好きになったのかが伝わって来なかったです。ラピスは見た目で選び、ジェイドは平民なのに好きだと言ってくれたから選んだ、そんな印象しかありませんでした。
2話目でいきなり変な婚約者が登場し、それを見ていきなりジェイドが嫉妬したので、そんな嫉妬するほど好きになってたの!?と驚きました。
ページ数が少ないのも原因だと思います。せっかく題材はよかったのに、もっと丁寧に描いてほしかったです。
表題作は3話で終わって、急にジャンルの全く異なる社内恋愛モノの読み切りが収録されていて驚きました。せめて一巻丸々使って表題作を、中身の濃いものにして描ききってほしかったです。