ネタバレ・感想ありmoon riverのレビュー

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永遠(とわ)と刹那
ネタバレ
2025年5月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本郷先生の初期作品。ものすごくだいすきです。
読み始めのカラーページ、水辺を散策する幼きクレア?にまずは心を奪われます。

クレア…隔世遺伝により吸血鬼化した異質な個体。純血主義であり秘密主義な吸血鬼の由縁にあえて触れないことでその歴史は古いというニュアンスが自然な形で伝わってくる。漠然とした描写から導き出されるのは、彼らが生きることに疲れるほどの長寿であること、組織化されていつつも順応に優れた種族であること。それでもやはり日光は天敵で食事(血)もそれなりに摂らなければならず、複数の薬を常用し副作用に苦しまなければならない。
そのような不都合に折り合いをつけながら20年にも渡り親交を続けてきたクレアと人間のロカ(芦花)…この作品はブロマンスな2人の最後の交流を綴った、どこか悲しい物語。
短命なロカに合わせてしれっと図太く暮らせばいいじゃない、と、つい話を丸く収めたくなるのですが…考えてみればたしかにそうだ…もし容姿に変化の見られない隣人の噂が出回ったならクレアたち吸血鬼はただちにコミュニティから排除されるし、クレアを愛するあまりにロカは危険を冒し続けることになる。そんな不始末は保守的な“上層部“が許さない。だからほどほどの距離でロカを見守っていた…それはわかるのですが、そのやさしさがあまりにも吸血鬼的で、儚くて…瞬く間に寿命を終える人間のロカにとって、お互いのために離れることを選んだクレアの判断は薄情にも不可解にも受け取れたことだろう。それならば…と、自分なりのやり方で想いを繋ごうと奔走するロカの愛が痛くて深くてたまらない。

それから『星月夜 byゴッホ』のような満天の星空が見開きいっぱいに散りばめられた後、物語は現代から未来に移り変わる。

そこにロカは居ないのだけれど、クレアが彼の作品を手にするたびに2人で暮らしたあの川沿いのアパートが懐かしく思い出され、ロカとの日々も蘇るんだ…と深読みした瞬間壮大ないろいろが心のなかを駆けめぐり、涙が溢れて止まりませんでした。
なりたくて吸血鬼になったのではない死にたがりのクレアも、これで生きるしかなくなってしまったね…

歴史に名を残したい気持ちが理解できたような気がします。
誰かが覚えているかぎり、その人はいつまでもそこに存在し続けるのだから。
きゅっと、やわらかく
ネタバレ
2024年9月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ *心の中のどこかを掴まれたような感じがしました。
全体的に人肌の温もりを求めるような愛しさと切なさと傲慢さが漂っていて、それはクレアが永遠に焦がれずにはいられないであろう“人間味”なのかなと。
それを刹那でも与えてあげたかったロカの愛、
それをムーンリバーの流れの中で受け取ったクレアの想い、
美しくて優しくて、でもやはり切なくて。
本郷地下先生、大好きですーーー!!!
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表紙の美しさに惹かれて…♡
ネタバレ
2022年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ いつか読みたいと思っていた作品です。お互いの気持ちは秘めたままで生きている。どうにもならない、かなわない思いに区切りをつけるまでの日々。ハッピーなエンドは期待しちゃいなかったよ。せつないね。そこがよかった。
切ない
2022年3月3日
諦めなければならない事情と、それでも一緒に居たい気持ちのせめぎ合いが切なかったです。何年もかけて、自分の気持ちに折り合いをつけていく様子が淡々と描かれていて、微かな寂しさが心地良い作品でした。
永遠であること
2021年7月9日
限りある命の人間と永遠の命の吸血鬼。去るもの去られるもの。旅行先での別れはあまりに切なかったですが、「ああ、これはクレアだ。」とたどり着けたこと。涙が止まりませんでした。
映画みたいでした
2019年11月4日
淡々としてます割と。SFぽい感じなので萩尾先生とか好きな方に合うかも。ファンタジーですが会話やセリフ等1つ1つのシーンにグッときました。切なさとか色々あってて。ジーンと思わず涙ぐみました。とても良かったです
面白かった
2018年6月24日
ウィングスって中高生の頃読んでたけど、こんな感じの多かったなー懐かしいなー。話の真相はわからずじまいな、ふわふわと人物を撫でるだけのお話でしたが、面白かったです。吸血鬼ものって必ずと言っていいほど純粋な、あるいは純血の吸血鬼とそうでない吸血鬼がいるっていう設定だけど、どの話も具体的にどー違うのか書かれてないんだよね…いまだ謎です。もともと吸血鬼だった人と吸血鬼にされた人って違い??
静かな余韻が…。
2018年4月15日
読み終わった後、余韻が小さく残って、タイトルの『moon rivar』の曲が、どこからか、聞こえてくるような、映画を見終わった後のような、せつないのに、心おだやかになる、そんな作品でした。隔世遺伝の吸血鬼と人間の二人の距離感が、少し寂しいけれど、思いが伝わってきて、よかったです。
切ない~
2017年1月20日
この切り口はありそうでなかったので新鮮でした。芦花の愛の深さったらもう・・・!終わってしまうのが惜しくてページめくる手が行きつ戻りつ・・・世界観もしっかりしてて芦花とクレアや他の吸血鬼のことももっと色んなエピソード読んでみたいと思う良作でした。
試し読みでは分からなかった
2022年7月24日
試し読みでは分からなかった展開でした。
でも読んでみたら、それを前面に押し出さずにいたことに納得。
面白かったです。
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地下先生の
2021年6月13日
BL作品でファンになったのでこちらも読んでみました。なんか切ないというか悲しいというか、仕方ないというかそれしかなかったんですかねやっぱり。眷属になれなかった芦花は絵本を残して?クレアは1人で生き続けているの?どうにか方法を探し当ててハッピーエンドにはならないのか…それを求めてはダメなんですかね…寂しい。少女漫画カテゴリーだけど(画面上)何も起こらないブロマンスかな。
申し訳ない、合わなかった。
ネタバレ
2022年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 196ページ。
BL未満の絆もの、ではあるけれど、メンタル的にはBL寄りの気配を感じる。吸血鬼と人間、時の流れの違う二人のどうしても避けられない切ない運命とかすかにつながる望み……という話。絵はきれいで見やすい。
雰囲気はあると思うけれど、雰囲気を雰囲気として享受できませんでした。
主人公が子供の頃アメリカで育ってる設定とクレアが黒髪で描かれていたことから、主人公(子供時代から髪色薄い描写)がハーフとかの設定なんだろか……と設定の奥行きを期待したのがまずいけなかった。そこに意味は無かった。
吸血鬼が人の世で生きていくための薬の設定も、あの規模の製薬が出来るのは、ある程度吸血鬼の数が多いもしくは人間の協力者がいるということと理解していたので、たかが主人公一人がクレアと関わったり眷属になろうとして失敗していたところで大した問題にならないだろ、と思ってしまって、別離の悲しみに入りきれず。
全体的に深掘りがない中、旅行のシーンで主人公が「僕の何が幸せか勝手に決めるな」って言う思考回路について行けなかったし、その流れで黙って姿を消すクレアの思考回路も理解できなかったし……銀河鉄道の夜と重ねたかったんだろうけどさ……そこはきちんと対話をしてよ、ってもうモヤモヤ。なんかこう、キャラクターが男っぽくない。
ラストシーンでクレアがブロンドになっているのも唐突感があって、最後の最後まで消化不良でした。
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