私の愛する百合作品には共通項があります。
それは女同士の魂の殴り合いであること!!
女として上手に生きるために塗り固めてきた外面や建前も、同じ苦しみを知る同性の前では取っ払える。剥き出しの感情のやり取り、本能的な行動の応酬、その果てにある息苦しく痛々しいまでの他者理解。そしてそれをいち女性読者として読むことによって得られるある種のカタルシス…。
これはNLやBLでは得られないものです。
本作はそんな私のヘキを殴打してきました。
本作は、絶海の孤島に閉じ込められた少女たちが、襲いかかるクリーチャー、謎の老婆や因習めいた儀式といった非日常的な状況に直面し、受け入れ、ときに争い、ときに涙しながら島の謎を解き明かし、同時に人間として成長していく…というお話です。
このあらすじだけでも、何これ私がみた夢?状態ですが、何よりモノスゴイのが、女性キャラクターの中でもステレオタイプの煮凝りのような存在となっている「お嬢様」がメインをはっている点です。常は既得権益を持ち優雅な生活を送っている(とされる)上辺の権化のようなお嬢様たちが、極限状態に置かれたことでその上辺を取り払い、自己開示しあって絆を深める…。私としては絶頂絶頂また絶頂といったところ…
いや失礼しました。しかして、この作品はあくまで上品です。喩えるなら蠅の王ではなく十五少年漂流記。情欲を煽るような肌の露出も、過度な露悪性もありません※環さんは例外♡
作品を通して強く描かれているのは人間讃歌です。お嬢様たちの必死なサバイバル、解けていく誤解と蟠り、育まれていく友情とバイタリティ。生き抜け!戦え!というメッセージが紙面からビンビン発信されています。
だからか、グロテスクな描写の多さにそぐわず、読了時には爽やかな…前向きな気持ちになっています。言うなれば殴り合いのケンカ後、河川敷で青い空を見上げているような感覚。マザーグールは正しく魂の殴り合い漫画です。
最後に、別名義でもなんでも、作者様が楽しくマンガを書ける状況に至ってくださることを祈りつつ、感謝の星5を捧げます。
最高の百合漫画をありがとうございました!