表題作と後半に短編作と最後に表題作の書き下ろしと連なる構成の一冊です。表題作の課長がとても可憐な年上キャラです。誰に対しても思いやりを持って正面から接する課長の優しさや誠実さが魅力的です。想いを寄せてくる部下の須田君と少しずつ関係が深まっていく過程のやり取りも無理矢理な感じがなく、戸惑いながらわかり合おうと歩み寄る気持ちが他者を交えながら巧みに描かれています。ただ、途中にある部下同士の心の痛むやり取りに対してはストーリーの展開の要素として必要性があるかどうかは読み手にとって微妙かもしれない印象でしたが、そこを除けば全体として穏やかな内容の作品です。書き下ろしでその後の課長と須田君の幸せな様子が見られるのも微笑ましくて幸せな気持ちになれる一冊です。