バイオレンス漫画の筆頭のように扱われる本書。
確かに暴力で溢れているんだけど、それだけで終わらないのが、この漫画が語り継がれている理由だと思う。単なるグロさなら、"ホラー"ジャンルの漫画に幾らでも勝るのがある。
この漫画の特徴は、SMを核にしているところにあると思う。SMの部分集合が暴力であり、ヤクザや拷問もまた、SMから派生する舞台装置に過ぎない。暴力をただ"恐いもの"として扱うのではなく、その奥にあるフェチズムやエロティシズムを意識的に扱う点が、凡百のホラー・バイオレンス漫画にない重さを持たせていると思う。
バタイユは禁止と違反の中にこそエロティシズムがあると言ったけど、そうした社会の禁止領域を覗くスリルのある漫画。
ただ、描写がそれなりに容赦ないので、読み手は選ぶ。このマンガをみんな好きな世の中もちょっと嫌だなぁと思う。面白いけども。