料理以外は人付き合いも生活もパッとしない、更に運もない感じのどうしようもなーいジルベール。ですが、周囲の人の優しさや強引さに影響を受けて、少しずつ自分らしさを発揮していきます。自信が持てずに下ばかり見ていたジルベールが、頼もしくなっていく様子に勇気がもらえます。登場人物が皆個性的で癖が強いのですが、悪人はいません。みんな悩んだり失敗しながらも自分の仕事に誇りを持っているのが素敵です。
特にお気に入りはリュカのエピソード。何らかの障害を抱えているだろう彼を、障害について何の知識もない同僚が彼に寄り添って対話することで解決策を見つけていく様子がとても温かい。
淡々としたストーリーと素朴な絵ですが、早く次が読みたくて心待ちにしている作品です。