読み放題より。それまで育児を1人で担ってきたお母さんが育児ができなくなってしまい、残された2歳のひなちゃんと主人公である父親が残され、ひなちゃんが児童養護施設に保護されるまでとその後を描いた本作。
率直なところ、第三章の途中までは、育児を妻に任せきりにしていた主人公に感情移入しづらかったのですが、第三章のラスト、ひなちゃんが目の前にいる人=パパだと認識したシーンから作品に惹き込まれ、心の琴線に響きました…。とかく児童相談所が注目されるのは何か問題を起こしたときになりがち。それがこの作品では、ごく一般的なケースで職員が子の福祉…子どもの幸せ…を第一に考える姿勢を中立的に受け止めると共に、児相や施設の職員がどのような思いで子どもに接しているかを心の声で表現しています。
更にひなちゃんの心の声の変化が、もう、健気で。子どもに親は育てられる、と実感した日々を思い出して、何度涙腺を刺激されたか…。
読後、幅広い方に読んでもらいたいなぁという思いが湧き出てくる作品になりました。できれば途中で主人公に腹が立っても(笑)、ひなちゃんに免じて読んでいただければ、と思います。
なお、レビューを書くにあたり原作者の漫画家さんに起きた出来事を調べ、後悔したことを告白します。レビューを書くかも悩んだのですが、親、子ども、行政の三者の内面に触れ、それを中立的に描いた作品としての良さは、それとは切り離して評価されるべきだと考え、レビューしました。読まずに済むならそっとしていただくとよろしいかと思います。