コメディ超の壮大なラブストーリーで「はいからさんが通る」に勝る少女漫画は未だないと言える程、少女時代から大好きな漫画。80年代に再放送されていたアニメでファンになり、その元祖アニメ版の尻切れトンボでよくわからない結末に納得できず単行本をまとめて買って読破したのが小学校5、6年の時。あの時の「お小遣い貯めて買ってよかった!」満足感は今でも覚えてます。
少尉は他の多くの当時の乙女がそうだったように外見内面とも自分の理想の男性像となり、何十年もたった今でも映画や小説などで好きなキャラクターと似ていると気づくことがあり永遠に影響受けたようです (笑)
この漫画で書かれた日露戦争とラリッサの話は子供の私がロシアに興味を持つきっかけにもなりました。その後池田理代子氏の「オルフェウスの窓」でロシア歴史好きに拍車がかかるのですが、きっかけは「はいからさん」。欧米に移住したあとに出会ったロシア系の友人達といまも続く交友関係の基盤ともなってくれたといっても過言ではないくらい。
大和和紀先生は「はいからさん」だけでなく他にも多く大陸を超え他文化を跨いだすごく雄大で浪漫のあるストーリーを描いてくださったので、その一つ一つに今も感謝しています。「レディミツコ」や「ヨコハマ物語」はまだ子供の時に異国異文化異言語の国に移住した自分の心の支えにも時になってくれました。そして紅緒を始め、それらの壁や境界線を超えていく主人公の女性たちはただ強いだけでなく優しい。大和先生が描き続けてくれた、強く優しい女性達は自分もこうでありたいと今も様々な民族、国、文化の人々と交流するにあたり、心に思うことです。
そして如月さんのように厳格で人間味のなさそうな嫌われキャラも、お定さんのようにホラーな外見と変人な性格のキャラも、少尉の頑固者のお祖父さんも、皆憎めず愛すべき人たちと思わせてくれるのも「はいからさん」の凄いところ。どんな人もぱっと見ではわからない面や背景があるのかもしれない、見た目や限られた情報で簡単に人をジャッジしないことの大切さ、それさえ私は「はいからさん」から大事な成長期に学んだと思います。
こうやって回想しながらレビューすると、少女時代の漫画ではオールラウンドでベストワンかも。50年程経った今も名作。是非これからも色んな人に読んで欲しい。