こちらの作家さん、はじめて何冊か読みました。どれも共通して言えるのは、じわじわゆっくり染み込んでくるタイプなのかな…と感じました。何と言いますか。決して大きな波があるわけでなく、小さなさざ波がざわざわざわざわ…多くを語るよりは絵で物語り、心情描写に長けていると思います。
表題作は過去にトラウマを持つちょっと歪んだ上司と真っ直ぐな青年部下のカップルです。こちらはいまいちでした。部下の芝村が上司を好きになっていく過程が弱く、流された感じが否めなくていまいちです。が、やはり本気が伝わってきた最後の書き下ろしは良かったです。「俺が溶かす」カッコいいです。
同時収録ははイタリア人と留学生の日本人カプ。こっちの方が好きです。これもまた、これといった大きな波はないのですが、穏やかに流れる日常でゆっくりじわじわ時が流れていく優しい感じが好きです。良かったです。読後ほっこりしました。