嘘に引き裂かれた愛は沢山読むが、主軸がこれは、失われたものをよく考えさせられること、また、失わせた者達の所業を公開処刑。そんな徹底した勧善懲悪型は珍しいかもしれない。欧州型シニカル結末ではなく米国型に通じる悪だくみへのけじめを求める明快さ。これはこれでいいかもしれない。
現実の世の中人を嘘で陥れて自分は旨味を取る人間はいるから、しかも、この人物のように、いい子だと、善良であると、周囲に信じ込ませている人がいるから、存在価値は大いにある話。悪いことをしたと心の底から詫びる気が無いのも、やけにリアル。意気に通ずる作者の意図が、読んでいて小気味良かった。
白日の下にさらされ、しっかり悪事はばれるべきなのだ。居直られてしまったけれど。
もちろん、若さ故もあったわけで、二人の、否三人の10年放置は、全く大人の責任。