擬人化しただけなんでしょ!?、要は、だと思われてそれだけで見られているなら、残念すぎる。
擬人化も無論読み手は作品の中へ誘われ易いし、そうすることによる説明力は計り知れない。効果は絶大と思う。
ただ、それだけじゃない。例えば運搬する姿、ビジュアル化したときの、服装や道具など細部に至る造り込みが、擬人化効果を大きく助ける。
この試し読みだけでも、本書の優れた分かり易さが、こうした漫画という表現手段によるものだと実感するのだ。人体の神秘として煙に巻くのではなく、真っ直ぐに、内部のメカニズムを、小難しい説明抜きに直観的に見せようとの工夫が、今どきの漫画購読層を念頭に置いた語彙選択や、世の中の流行にも寄り添った世界にして見せてくれている。これは、教科書を書いているのでなく漫画を描いてるのだ、しかし、教科書のように基本を伝えてくれてるのだ。
何を何に喩えるか、だけで終わらなくて、何をどの様に喩えて見せるか、どう描いてメカニズムを文字からだけでなく二次元的に把握するか、これらの点、驚くほど工夫が詰まっている。
ただの読み物として、以上だ。
この、「働く~」シリーズは、現代に於ける、解体新書的な、知る喜びを満たすものと思う。杉田玄白先生が見たら喝采するかもと思う。