絵が古いというレビューを(全般に)見かけるが、私はそれをマイナスにしない。古いのこそ此処で読めるからと来ることも多い。何十年間毎年新作は世に出て、そこから傑作も出る。いつ読んだかだ。
何十年と生きていたら時代の変遷があるのは当然で、作り方見せ方さえ違う。当世の流行もあるしスタンダードなのもある。多様性も欲しいから、今はどんな画風が流行してるか感覚的理解はあるが、それは私には大きい評価基準とならない。どんな名医も駆け出しの頃があり、有名スターが卵の時は今とは別人だったりする。少し前のヒット曲が、今聞いてもいいと思うのと変わらないのではないのか。実際は編曲等の新旧はあるけれど。古い映画を見ると、当時は新しい手法も、制作年代を映す。でも、だから駄目とは、思わない。同じ作家が新たな作風に挑戦するのもいい。勿論得意分野に特化も悪くない。
私が見るのは雑か丁寧か、創造的か工夫や作家性を感じるか、空気に浸れるか作中の誰かになった気分で疑似体験できるか、又は、目撃者として自分にインパクトがあったか。
私の娘も絵の好き嫌いで入り口で拒絶する。私は、彼女が相当冊数読むまで、感想を言い合いたくない。完結作品は特に、作家が早期に結末を決めていたということも多く、なかなか手の内を見せないか、作品内時間の流れ方でまだ辿り着かないなど、ある。ほんの序盤での感想が、完読してるこっちには筋違いの見解に、ハナシにならないなと感じることが多い。
私が子どもの頃、NHKで「ベルばら」是非論が討論番組にあった。片方は一切未読なのに威張って臨んでいた。私は、これ視聴してたとき、その番組の討論相手が気の毒だと、心底思った。私ならやってらんない、=退席だろうと。
マンガがストーリーを持っている以上、話を最後まで付き合わないで、設定だけで、又は登場人物が気に食わないだけで、(読むのを中止するのは勝手だが)作品自体を断罪するのは、激しすぎると私は思う。
今回、さいとう ちほ先生の作品をもっと知りたくて読むことにした。
知らずにデビュー作も読めたのでラッキーだった。
ストーリーテラーとしての才能に溢れていること、それを表現する画力がしっかりしていること、そんなことを十分感じさせた、いいコミックスだと思った。
そして、重すぎず安易すぎず、少女漫画なので狭い範囲でゴチョゴチョ甘っちょろくやってるが、おさまりのある作品。