面白そうと無料版を開くと、2712頁。長すぎるパッケージに、漫画を食べ飽きそうになって困惑した。
試し読みで感想を書くのは私のスタンスではないけれど、これは、純粋に大賞に関する投票以外の意味を持ってしまう。そこに、何とは無しに同一トラックを走ってない気がしてきて考え込んでしまった。
(でも本作に1票投じました。「男性部門作品として」私から投票したいと思えるのは本作のみ。カテゴライズ不適なエントリー多いと感じた。男性部門ながら女子受け狙い臭さ強めとか、ラノベにも異世界物混じるとか。)
対象の「君は放課後インソムニア」はとても良かった。天文絡みだからなのか天候を巧く使っていて、絵に詩情が出る助けとなっている気がする。インソムニアが設定上メインの二人に関わるが、どうもピンとくる絡み方はない。昼間支障は?学校に来れて、女子は部活?? 映画タクシードライバーをDK&JK版に? 「君」ではなく僕達か俺達では?
つかみは不気味な怪談めいた廃部話。話の冒頭を余りにも重苦しくし、彼女のあっけらかんとした主っぷりで作品への私の第一印象が巧くかわされない。その後二人の部室改造も面白いがそこまでくるとリアリティーは放棄したんかいと感じる。
本作は、胸の豊かさが不自然に見えなくて歓迎。というか一般には、主たる読者層を男性で想定しているから仕方ないのだとは思う。よく私が少年・男性向けは絵を正視出来ず手に取りたがらない理由が、そこにもあったりする。
女性読者開拓で女性に媚びたら、元の読者にきっと悪いだろう。女性受けにすることなんて必要なのかな。私がいつもは読まないフィールドに遊びに来ただけ。
とはいえ、私は、そういう根っからロマンスとお花とキラキラがふんだんに表される少女漫画辺り(最近はBL物への進境著しいが)が大好きなので、自分の視点で行くが、無料でこれ程見せられても、一向にこれから男性向け作品を読みたいと思わせられない、初めから志向が違うと思わせる作品ばかりだった。2712頁の中に納められた中では、独特の訳あり吸引力と寂寥感を持つ絵が読ませるサターン・リターンと、読み手として強い振り回され感がスリルを呼び寄せてくれる9条の大罪、2作品だけは、存在感。
単品で本作を振り返って私は、ときめきは覚えなかった。今後の進展への好奇心だけ。男子なら胸に来るのか。
やはり感性の違いを確信した。世の中、別物だからいいんだろう。