どこかで見たことあるような、でもユニークさの強いキャラ、誰にも似てるような顔立ち、でも今までに見覚えのないマネキン人形のような感じのするツルッとした皮膚感の造作。妙なリアルさがあって、そして案内力の強いディテイルで独特の思考回路に説得力がかかる。
作品中言及ある襟についてもそうだが、同僚教師とのやり取りも意外な距離感で掬い取っていて、人物造形がキーという気がする。職員室ドラマが意外に比重高く、学外シーンはそこそこ多い。世間の「女子校」像よりも、女子校なら男子の目を気にせず過ごせる、というのびのび環境でのニッチなこだわりの突っ走りがよく描かれている。各話少々破天荒気味展開、クワガタに至っては話があれって走っていってしまって、星先生もろともこの展開では、ついて行くのは大変で、ついて行けるとしたら教室で授業中に創作活動に励む松岡さんくらいだろう。
玄人筋にウケる作品は敷居の高さを感じること多いが、本作は一般読者層のマスのほうに訴える題材に近いところに、こういう笑いを取りに来るのか、というキャラ達の生身っぽさと、常軌からのちょこっとの逸脱ぶりのバランスがめちゃくちゃいい。
教師という職に就いている姿と、一個の人間である実像とを、正義や道徳を振りかざす説教臭さを排して美化せず描写、敢えてそこに「真面目」をこめている。それなのに斜め上の理屈っぽさで、笑いのセンスが脇腹から入ってくる新鮮味も。
ただ、アングルのほうは凝っているが、絵自体はむしろ「漫画っぽさ」が薄くて、言葉が相対的に作品を形成、私にはビジュアル的に遊びが少ない感じがした。
でも5時間目の観察日記は大いに楽しんだのだが。
絵は、手間ひまかけた力作感充分で丁寧。
卒アルの教職員、面白かった(第4巻)。