尻上がりに面白いです。今ならお値打ち。
「虫の社会を擬人化」した王国ファンタジーという点に喰いつきました。女王蟻がフェロモンで統べる絶対君主制の中、稀に生まれる次代の女王候補…それが主人公です。
蟻ってほぼメスな筈だけどこちらでは男性多め。母とか産むとか言ってるので、女王まで男性な事に強めの違和感が有りました。でも読んでくとそれも重要な含みの1つでありそうな匂いがします。
他にも気になる謎が沢山あれど段階的に詳らかになり、感情は豊かでストーリーも世界観も丁寧な造り。
兄が心配で権力の中核に身を投じる弟の行く手が、自分的ホットな見どころでした。お人好しで頼りない主人公とそんな兄を守ってきた弟と…二人の成長と変化がおいしい。
“ 戦争や外交 ” として、“ 食物連鎖や共生 ” に擬えた虫たちの世界が特に面白かったです。擬人化うっまい…色々上手い。さすが文善先生。アラビアチックな扉絵も美しい。