ネット上で話題になっていて気になったので購入。漫画を描く藤野と京本の2人の女の子のお話。奥が深いと感じたのが、タイトルの『ルックバック』の意味。まずは表紙に描かれている背中=backの『背中を見ろ(見る)』が1つ。他に調べてみると『後ろを振り返る』や『回想する』といった意味があることがわかった。実際にこの作品では、藤野と京本の後ろ姿(特に藤野)がところどころに。そして、2人が後ろを振り返る行為や過去の回想シーンがあったりと『ルックバック』の意味が込められている場面が数多く見られた。
主に藤野の視点で物語が進んでいく。そのためか後ろ姿が描かれるのも藤野が多い。『背中が物語る』という言葉があるけれど、藤野や京本の背中から何を感じるのかも読者の捉え方によって変わると思う。
自分よりはるかに才能があったり実力がある人から、うわべでなく本心から「すごい!」と言われること。その上尊敬までされたら、誰だってうれしいだろう。このことをきっかけに藤野は過去に折ってしまった筆を再び執り、漫画を描く道を歩み始めた。大切なあの子のため、作品を楽しみにしてくれているファンのためにも、たくさんの想いを秘めて描き続ける彼女の後ろ姿。実際に創作活動をしている方々も、このような後ろ姿をしているに違いない。本当にかっこいい。