タイトル通りロマンスには程遠いのかと思いきや、ルイスが明るく爽やかに頑張るので、遠くもあらずでとても楽しかったです。
ロマンスに巻き込まれる新が、ごく普通の平凡な男なのが良かった。ロマンチックに無縁の30男が戸惑いつつ、気付けば薔薇と甘い空気に包まれているという。もう読みながらにやにやしちゃいました。新とルイスが何だか可愛くてほのぼのします。
移住してきたルイスが地元に馴染んで楽しそうに仕事をしているのも良かった。新に会いたかったのが第一ではあったのでしょうが、本当にここが好きで自然に溶け込んでいるのが素敵でした。2人の出会った場所でもありこれから生きていく場所でもあるわけで。おにぎりや牡蠣小屋や地域活性のための仕事など、2人を彩る背景がしっかり描かれているのが良かったです。
ややお疲れ気味のサラリーマンが主人公で、なかなか甘いロマンスにはなれない2人ですが、そんなのびのびとした奥行きのある世界を感じられるせいか、とても気持ち良く読めて、作品には軽やかさと爽やかさを感じました。ほっこり可愛いお話で、読後感がすごく良かったです。