とにかく舞台設定の非現実性が気になって2巻までの間では作品に入り込めなかった。
別に物語が面白くないわけではない。というか、むしろ非常に丁寧で、接点がないはずの二人が思いがけないところから関係性が生まれて…、という流れは某着せ替え人形と同様の類型で、面白いは面白い。
ただ、明らかに治安が良くない街にお嬢様校が存在し、しかもその悪治安の原因である男子校と隣接。さらに敷地だけでなく門も隣、校舎もカーテンを開けばお互いの教室の中まで丸見え、という状況が、あまりにも現実離れしている感がすごい。しかもその環境で登校・下校時間を意識的にずらしたりしている様子がないし、お嬢様校側の門に教師が立っている様子もなく、さらにヒロインは夜に独り歩きをしたりするわけで、もうちょっと非現実設定に現実味を纏わせないと物語に入り込めない。
そういった現実味の全く感じられない設定を排除すれば、前述の通り面白くはなりそう。評価も高いので、物語の重要事項である『壁を乗り越えての恋愛と、二人をきっかけとしたわだかまりの解除』のみを感じるように読めば、たぶん良作なんだと思う。