「親になる資格」を審査するために家庭に審査官として派遣される子どもたち。
「親」たちは自分のためにヒカリに向けてその場限りの愛情を与えるだけ与え、資格を受ける。
悲しむ子どもを作らないために作られた審査官も、当たり前に傷つくのに、誰からも愛されない。
審査官であるヒカリが、自分でも気付かなかった自身の悲しみを自覚し、夫婦と本物の家族以上の絆を築いていく様子が丁寧に描かれていた。
最初に読んだとき、しばらくして読み返したとき、どちらも悲しさと、愛おしさが込み上げて、何度も読みたい素晴らしい作品だと思った。
ありふれた幸せというのは実は不安定さの中に存在していて、その不安定さこそ愛おしいのだと感じるきっかけになるような作品。