パワープッシュになっていた機にレビュー。
『銀河鉄道の夜』との出会いは、国語の授業で途中まで観たアニメ映画でした。そこからずっと心の真ん中を占めて、今に至ります。
アニメ版は、少々の演出的改変はあれども、音楽から何から何まで、そして宮沢賢治本人へのオマージュ、宮沢賢治の作品宇宙を包括するような造りになっていて、本当に価値ある名作になっています。特にラストの一文が、『銀河鉄道の夜』という未完の作品の本質を示していて素晴らしい。
対して、アニメ版の元になっているとはいえ、こちらのますむら版は、原作に忠実。ますむら氏本人が宮沢賢治作品を深く愛して尊重していることが窺える、こちらも素晴らしい傑作です。
この、キャラクターを「ますむら世界の猫」としてえがいたのが大成功だったと思うんですよね。
原作を読んだ個々人の心の中に住むジョバンニとカムパネルラを破壊しない、ふわっとした中立性。また、全体の世界観も、ますむら世界はイーハトーヴという概念から派生したヨネザアドが基盤になっているため、無国籍感があります。これらの奥に見える「どの価値観にも倚らない」という意識こそが、『銀河鉄道の夜』という作品にとって必要な核心であり、それを目に見える形で示した本作品は、とてもとても価値があると思います。このますむら版に息づく意識無しにアニメ版の成功も語れないです。
また、初期形も併せて漫画化され収録されています。自分が若い頃は、この初期形を目にする機会が無かったため、ますむら版で初期形が見られたのは非常にありがたかったです。
……で、この場を借りて、最近私が得た知識を『銀河鉄道の夜』好きの皆様と共有したいんですが。
「アスパラガスの葉は!あの繊細ふわふわじゃなくて!!はかまと呼ばれてるあの三角形のことーー!!!」ナ、ナンダッテー!
ジョバンニがお店のウィンドウで眺めていた星座早見盤を飾っていた「アスパラガスの葉」、この漫画版でもふわふわで描かれていて、自分もあのふわふわが葉だと信じてたんですけど、なんと、三角の方なんですよ……。
宮沢賢治が理科教師であったこと、劇中に出てくる「三角標」との共通性、合わせて考えると賢治本人がイメージして書いたのは三角の方が正解ですね。なんでアスパラ……と思ってはいたんですよね……。
はい、ふわふわの方だと思っていた人、恥ずかしがらずに挙手&握手!