最初からぶっ飛んだ内容で面白く、先が気になり小説版を読了しました。ヒロイン(アダリーズ)は幼いときから「人の心の声が聞こえてしまう」という特殊能力の持ち主。その能力のおかげで、リリアナ・ダンバース公爵令嬢の窮地を救い、それを契機に令嬢の兄であるディートリヒと知り合い、求愛されるというお話しです。
このディートリヒという公爵嫡男、貴公子そのものな外見と物腰、見る人をうっとりと惑わせる魅力の持ち主なのですが、性的魅力に溢れたヒロインを見るたび、具体的な妄想を思い浮かべます。まさかそれが筒抜け状態という本人が知れば居た堪れない現実が読者には可笑しくて堪りません。
ストーリーは進むにつれ、予想外の事実が出て来たりで、スケールUPしていきます。外見の貴公子ぶりと内面が合っていないヒーローです。最初は計算高く、冷徹で、身内以外には厳しい。それ以降は不埒で清廉潔白とは真逆。それでも絶体絶命のピンチで、ヒロインを庇い、捨て身の割り切りを見せる男気もあり、本当に食えない男なのですが、むしろそれが魅力なのでした。外見も内面も清廉潔白だなんて、そんな男はモテませんよね?!
ヒロインも素直になりきれなかったりで、悩むシーンも多いですが、最後は幸せを見いだします。それに一番いいのはヒロイン家族の愛情の深さ。ベースに家族愛があるので安心して読み進められました。艶っぽいシーン、アクションシーン、中だるみもなかったです。コメディだけで終わらない読んで良かった作品でした。