貴族社会を舞台にした物語でありながら、ヒロインの所作や立ち振る舞いに時折“品格とのズレ”が生じている点は、ストーリーへの没入を妨げる部分として残るかもしれません‥
断罪劇から始まる逆転の筋立ては魅力的で、王宮に漂う不穏さや仕掛けられた陰謀など、読み手を引き寄せる要素も十分
ただ、物語の核心であるはずの“アレ”の正体が開示されないまま進むため、期待が宙吊りになる印象も否めない
登場人物同士の関係が意図的に複雑化されている一方で、説明が控えめなため、序盤は情報を追うのにやや負荷がかかります
魅力と課題が拮抗し、評価は自然と「可もなく不可もなく」の位置に収まる作品だと感じられた