コミック1巻発売当初に読んで、続きが待ちきれず原作の1巻を読んで、またコミック版に戻ってきました。このコミカライズは大成功だと思います。
まず第一に、原作の物語と世界観の両方がとにかく素敵。登場人物一人ひとりの過去から、国々の歴史に至るまでハリボテなどでなくたしかに息づいて、まるで濃〜い森の空気を体いっぱい吸っているかのようです。
コミカライズによって、この世界と魅力的なキャラクター達、興味をそそられる不穏なのに魅惑的な謎が、さらに存在感を増し具現化されています。絵のタッチも世界観を反映したようで幻想的なレーエンデの雰囲気にピッタリ。
原作は作者さんの処女作(?)で思い入れのある世界だからなのか、風景や独自の生き物、植物などの描写がやや冗長に感じられたり、キャラクターに感情移入しづらい場面やあまり重要でなさそうな場面や描写にページが割かれていたりする箇所がちらほら目につくように思いました(最終巻までは読んでいないので後から伏線として回収される可能性は無きにしもあらず)
個人、共同体、民族、国、宗教、政治…あらゆる要素それぞれの過去、現在、未来にわたって壮大な群像劇として組み上げられていて、この世界の圧倒的な説得力と存在感を支えています。
原作の小説だと文章はまだすこし読みづらいところがある気も。1文1文のカロリーがやや高すぎるのかな?小説というフォーマットだと作者さんの頭の中に築き上げられた世界は文章以外の形では世に出すのが難しかったかもしれないですが、設定画集とか歴史小噺みたいな感じで幕間とか(なんなら別作品でも!)に読んでみたいくらいです。
コミカライズがそのあたりをかなり上手に会話や出来事の流れや説明を省略したり画で補ったりすることで流れを過不足なくスムーズに、かつ物語の骨子は決してブレずに仕上げられています。原作は各巻がかなりボリュームがあるので第1巻分だけでも端折らなければ3―4巻くらいいけちゃいそうな分量ですがうまくすっきりまとめてくださるかもしれませんね。
1巻分だけでも原作の魅力には一点の曇りもなく太鼓判を押せると思ったので、以降はコミカライズでレーエンデが辿る歴史の物語を楽しませてもらおうと思います。
ボリュームかなりあるので、物語の最後までコミカライズが続きますように願っています!!!