一巻完結なのですが、起承転結、きちんとまとまって過不足なしです。ヒロインがとにかく可愛い〜。好き。
ヒーロー(第六軍将軍レオ:28歳)は王命で結婚が決まります。相手はヒロイン(イアルの血筋令嬢リーフェ:19歳)で、零落しているとはいえ高貴な血筋。本来ならとても縁組めない相手です。
「イアルの血筋」とは過去に断絶した王朝の末裔であり、貴族にとって憧れである由緒正しい血統。ただヒロインの噂は「醜女でまともな会話も交わせない娘」らしくヒーローとしても気がかりだが、王命に従う以外の選択肢は許されていない。ベールをかぶり素顔を見ることもなく迎えた花嫁。ヒーローは多少、身構えて初夜を迎えます…。
ヒロイン、少しあけすけなくらいに率直。イアルの血筋を呪いと言い、4歳年上だという兄のアドバイスも明かし、ヒーローを困らせます。でも華奢で可愛いヒロインの事を気に入ります。
生家では「イアルの誇り」を守る為に、厳格に抑制されて育ったヒロインは、婚家でのびのびと暮らし始めます。ヒーローが帰宅すると嬉しげに話しかけてきます。くるくると変わる表情、とめどないおしゃべり、ヒロインのおかげで静かだった屋敷が、華やぎ、明るいムードに変わります。ヒロインは何でもない日常であっても、新鮮な視点や小さな感動を見いだす才能があり、それを帰宅する度に「あのね、レオさま」と可愛らしい様子で一生懸命に伝えてくるのでした。
ヒロインは可愛いだけでなく、厳しい教育を受け、品格と教養を備えており、性格的には芯の強さがあり、忠実で潔さもあります。ヒーローはすっかりメロメロに惚れてしまうのでした。もちろんヒーロー自身も実直で誠実な人柄、素敵です。
この後、絶対的な危機が訪れ、ふたりはどうするのか?ハラハラさせられます。本作、使用人や夫の友人、妻の兄などの脇役も魅力的。物語に深みを与えています。読了感も爽やか。オススメです。