このレビューはネタバレを含みます▼
先生の新作だと、嬉しく思い購入しました。とても良かったです。
ネタバレなしが良いと思います。
帰りたいじゃなく、還りたいと無意識に思う時があるなと思い出しながら読みました。どこに還りたいかと思ったら、一番若くて充実していた時期なのかなと思いますが、そんな場所はもうある訳じゃなく。幸運な事に柊平には残っていて(…また作ったというか。あの、同じ場所に引きずり落とす様な柊平がかっこよかったです。)そしてズルいんですよね。眠っている藍の背後から抱きつくの。俺だけが救えると藍は思うんだけど、やっぱりそこは大事なものから逃げてきてるだけだからと、そんな攻めキャラは…とハラハラしながら読みました。だからだと思いますが藍の泣き顔が子供の様で。あんな風にあの歳で泣けるのかと。そこもとても良かったです。
都市にいると夜の明るさがあるからか分かりにくいですが、自然の多い場所にいると夜になったら真っ暗なんですよね。作中は移りゆく季節と自然でしたが、本当に朝は朝の風が吹いて、昼過ぎからは強めの風が吹き、夕方にはそこの場の主(動物)が現れるというか。物語は藍の様に地方都市から都会には行かなかった人の心理もまたあって。藍の還りたい気持ちの昇華も感じました。代わりはいくらでもいる、というマネージャーの言葉は、消費だけする人の言葉だなと思いました。代わりはいないんですよね。やっぱり。だから柊平は出奔したんだろうなと思いました。
行ってきますと言える場があるって幸せだなと思います。あとはどう土に還るなのかなと。あるカプの愛になるまでのお話だったのかなと思います。読了して温かい気持ちになりました。良かったです。