いつでも連絡が取れるのに、誰とでも繋がることができるのに、心の距離は遠くなる現代。それでもこの作品に登場する人々の根底には間違いなく優しさがある。昔に縁を切った父親でさえも、娘への優しさで拳を振るってしまう。それは端から見れば滑稽で、当事者にとっては見当外れで迷惑極まりない。しかし、多少歪んでいたとしても、それは彼なりの優しさそのものだ。
そんな、必ずしも素直になれない優しさを詰め込んだ4つの短編集を珠玉と呼ぼう。
いつも手元に置いて、ときどき思い出して開いて見て欲しい。
表題作「友達だった人」を読んで、涙が滲んだあなたこそ優しさの塊なのだ。
この派手さの無い、一見地味な作品を見いだし、5位に表彰した漫画大賞の慧眼には頭が下がります。
長編作にも期待しています。