キャンペーンのクーポンで購入。
初読み作者さんでしたが、出会えて良かったです。
気持ちの切り取り方がとてもお上手でした。
男子高校生のやんちゃで乗りの良い掛け合い。
恋人でも友人でもない不確かな2人の関係に、それぞれが不安や戸惑いを持っている。
それでも2人に不穏な空気が纏わないのは、恋心の前に友人としての絆が揺るがないからなのだろうと思います。
相性が良いんだな、と見ていて心地よくなります。
それでもページに薄く漂う切なさが、静かにこちらに伝わります。
後半の展開、そして『ホリゾン・ブルー』。
あぁ、人生ってこうだよな…。と感じさせられました。
若い頃は自分の人生に欠けているもの、失ったものばかりが目について、何かを得ようと必死に生きていた様に思います。
しかし歳を重ねる時間の中で、自分の人生の歪さや足りなさ、悲しみの中にこそ、自分が探しているものがあるように感じています。
蟹の欠けた足、たけしさんや蒼太が失ったもの。おじいさんが得られなかったもの。
その埋まらない空間は、決して哀しさだけが詰って行くのではないと思います。
BLとしても素敵な作品でしたが、何だか人生をそっと肯定してくれる様な優しさに溢れた作品でした。
読後は静かに波音が聴こえてくる…そんな穏やかな気持ちになりました。
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