お互いが育ってきた環境の違いがあって価値観も違う。そんな当たり前のことを確信し容認して未来を考えるという物語で、HQにしては少女漫画っぽいのが玉に瑕ではあるけれど素敵な物語でした。お坊ちゃん育ちのブラッドは自分で気付かないうちにお金に頼った考え方をしていた。それは環境がそうさせていた。ポーラに出会って「人生は自分に配られたカードでやっていくもの」とたしなめられ彼自身の生き方の未来を考えることとなる。そこにはもちろんポーラとの未来も含まれるわけです。ポーラは獣医としての未来を星に願います。しかし、馬や牛というポーラの体よりも大きくて力の強いものを相手にするということにブラッドは危惧します。それは目の前にある危機を言ってはいるけれどその裏を考えると、女性には個人差はあれど社会で働いていくのには向かない決定的なものがあることを意味しているように思います。それでも、好きな事希望することへの努力は惜しまないというポーラの決心にブラッドも読み手側も説得させられてしまいます。うらやましいと。読後はホンワカとして何度も読み返したくなる物語でした。