子供の使いではない。次期国王となるミカを国へ連れ帰る使命をもってハナの前に現れたマリク。ハナを説得に来たつもりが、説得されてしまった。マリクもハナも「突然人生の路線を変えられてしまった」不満と不安に共感し、同じ職業であることに共感し、心疾患の治療についてマリクは、ハナの不安に直ぐ答えを与えてくれる頭の良さに感激し、情熱を分かち合いたいと順序良く進展する様は、ファンタジーHQのお手本ともなるような物語である。穏やかで心地よい。うまい。しかし固い。何というか流れそのものにトキメキはあるのだが、ドキドキはしない。小ぢんまりしていて、ここぞという大胆さが無いのが理由だろう。それでも、ウットリしないでいられないのだ。