何故その駆け引きが一つも無いのだろう。
反面、物語終盤は間延びというか結構な蛇足。ベッドシーンは情熱的にむちっと肉感的に頁数も割いているが、元々頁数が少ないHQコミックでその場面が多いと、他の描写が減って話の広がりや深みが犠牲になってしまう。そのため原作でそれが多かろうと(まず読むことはないから関知せず)、HQ「漫画」にそのシーンの配分多いものは、表現に工夫足りないと判断して私は星を低めにしている。この作品は、元々本当に手近な情事として終わりかねない関係を、たまたま社長に本気にさせる、焚き付け効果が生じたもの。雑な言い方をさせてもらえば、ヤケッパチになって、或いは、よよと流され、身体の関係になったら、そこから熱が生まれて互いの好感が本物に変わった話。
HQレビューの中に(ここではないが)、二人のもっと後のことを描いて欲しいと、そこから先が描いてないので星いくつか下げたと、よくそんなコメントを見掛けるが、私は結婚式シーンはほぼ要らないと思っている人(無論必要な流れだと思える作品もある)。
このストーリーは、終盤が二人のその後に頁数取りすぎ。肉欲に溺れるところから入る話は、二人の精神的な結び付きや愛情の醸成描写の比重が軽くなるため、埋め合わせとばかりに結婚式シーンを多くしたのかも知れないが、私の感じ方は違う。終盤の、二人は結局正しい道に入りましたよ、的なだめ押しよりも、一夜の「過ち」から二人がどういう過程を経て、互いの気持ちを、確かめ合えたかを見せて欲しかった。
つまり、先生のあとがきの、原作には豊富に納められているという、その駆け引きでひとつでも味付けて欲しかった。
お義母さんは超ファインプレイをしてくれた。どうやってそれ出来たの?、という描写をしてくれないから、小さな疑問はあるものの、二人のそれぞれの母というのがエピソードとビジュアルで描き分けられて、各々の形の異なる情のあつさも出ていて話に深みが感じ取れた。
あと、妊娠中は三ヶ月までは少なくとも駄目だったはずが、情熱に負けてしまって、あれあれ、だった。
こどもの無事を祈ってしまった。
高い評価が付いているが、私の感覚では、3.5~3.9で小数点以下切り捨てて、やっと4星といったところだ。