ネタバレ・感想あり緑郎丸のレビュー

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層をなす精製された美しさ
2022年3月12日
舞台は(多分)大正から昭和初期の日本。
ほのかな少年の恋情、垣間見える複雑な家庭環境、白粉花の種の白さ、ガラスペンの脆さと鋭さ。著者によって精製されて画面の隅々まで敷き詰められ折り重なった美しさのイメージを楽しめます。
難解とか高尚とか言われがちな著者作品、私自身内容について理解できているかというとそれは怪しいですが、美しいと感じて好きだと思うなら、それで良いのではないかと思っています。
最近の著者の絵柄よりも儚さを感じる、1994年の作品。
単行本未収録なので、ファンは必読。
また、たっぷり49ページでこのお値段なので、著者作品を読んだことのない方のお試しにも。
饒舌でない分、余計に漫画空間に念が充満
2022年3月12日
自分が思索するのをやめてしまったかのように、登場人物のセリフを字面しか見れなかったし、緑郎丸の含意に気が回らず景色の中の絵として眺めたし、伊皿子の境遇に心配よりも舞台装置のひとつみたいに感じたし、で、三歩くらい引いて読んでいた。
しかし、本作は、少年達や大人達の感情が錯綜し、あてどない方向に飛びまくる。その全員の念が、決して、届いたりとか望まれる返しとかがなかったり、そうやってこの漫画はend到来。
この中には彼等の念が閉じ込められたように感じてしまうのだ。
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