もっと高く評価されるべき素晴らしい作品だと感じたので、初めてレビューを書くことにしました。
10年以上前に描かれた作品ですが、そこで扱われているテーマは、驚くほど現代の状況に重なります。物語の世界では、人々は「種としての絶滅」か「愛する人との記憶をすべて失うこと」かという究極の選択を迫られます。そのパラドックスの中心にあるのは、大事な記憶を失うという副作用を伴う古妖精化石燃料であり、これは私たちが2010年代に直面していた環境危機を彷彿とさせるものです。しかし今、作中の化石燃料や浮遊技術を現代のAIの進化に置き換えてみると、登場人物たちが抱える葛藤や苦悩により深く共感できるのではないでしょうか。「人類の生存」という名目のもと、技術の進歩が愛する人との絆を断ち切ってしまうのだとしたら、それは私たちが目指すべき未来なのでしょうか。
もし連載当時にこの作品を読んでいたら、美しい作画、スチームパンクと大正ロマンを融合させた巧みなスタイル、そして胸を打つラブストーリーを評価して、星4つをつけていたかもしれません。しかし、AIチャットボットに心の安らぎを求める人が増えている現代の視点で読み返すと、迷わず星5つをつけたいと思います。