その一言に尽きます。最初は本編の前のお話で工藤くん目線なのですが、好感の持てる純粋な好青年です。爽やかな恋する姿に普通に惹かれます。ですが、大好きな彼女に浮気されたあげくフラれた事をキッカケに変わってしまいます。これだけ聞くと工藤くんが可哀想なお話ですが、そんな大好きだった彼女の事を引きずることはなく、本編主人公である冴の事をすぐに好きになります。すぐに好きになれたんだったら、また以前のように純粋な彼のまま爽やかな恋をすればいいのに、今度の女は逃がさないとばかりに、まるで罠にハメるかのごとくがんじがらめに冴の事を捕らえていきます。最初の彼はあんなに素敵だったのに、どうしてそうなった……。
ストーカーで通報レベルのヤンデレな彼でしたが、そんな彼に結局落ちてしまった彼女もまたヤンデレの素養がある変わった精神の持ち主。二人が幸せならそれでいい、のかなぁ。何にしろハッピーエンドでよかったです。これが乙女ゲーなら凄まじい数のバッドエンドが作れそうです。冴に受け入れられたことにより、彼が可愛く見える気がしてくるラストでした。もし受け入れられてなかったら殺人でも犯してそうです。
他キャラが絡んできて、工藤くんから冴の事を守ろうとしてくれるかと思ってたんですが、あっさり引いていったりとか出番が少ないままフェードアウトしてったのが気になりました。普通冴が心配だししつこく絡んでくるのでは…。工藤くんの暴挙に利用された人達が復讐してこなかったのも不思議だし。まぁそこまでやったら悲惨な展開しか浮かばないので、工藤くんと冴の話のみに重点を置いてあっさり一巻で完結してくれたのはよかったです。絵は綺麗だし、色んな意味で印象に残る作品でした。