「これは恋のはなし」では自制という側面がとてもよかったのに、こちらは対照的に自制がないなぁと思いながら読んでいた。ところが急に途中でなっちゃん先生が自覚?する。その唐突さが少し、話としてクライマックス作りのための作り手都合の強いストーリーと感じた。
暗転タイミングがいかにも、というところに想定通りとなって残念なのだ。
前半はこちらが心配になるくらい安易であり、お定まりの立場の葛藤が見当たらない。
繰り広げられる恋愛は、夢中なときに見えなかったものが、突然他者が踏み込んできてからは、ふと気づかされて青ざめる、といったところか。
それはそれで、お互い他が目に入らなくて、という意味では漫画として夢描写も受け入れられる。けれど、恋愛経験豊富な男子と恋愛経験豊富ではない女子、という構図、学校のなかでは禁断の構図、という2本立ての構造がクライマックス以降別方向に。
ライバル的存在の出現も、前半の男子高校生にしては大胆で大人びている、というキャラに、「大人」の女性にしては子どもっぽくて少女漫画の女子高生なのかと思いそうになるキャラ。この組み合わせで恋愛させるのに彼女たる先生が強くない。ひとりの人間として強い人間ばかりいるわけじゃない、ということとは別に、生徒を守るべき立場にいる主人公だから、まずいくらいに弱弱しいのが読んでいてひっかかる。
学生時代の彼、というのも「大人」設定ということだが、恭との対比では微妙。終盤にかけて恭を立てる作り手の都合で大人にさせられたのか?
大胆に仲良くなっていく二人の過程を思うにつけ、普通の教師・生徒ものの漫画に成り下がっていくようで、ストーリーの面白さが減ってしまった。
女子高生の言動が熱情と冷静の配分が良くていい仕事しているのが良かった。
同僚教師のかませかたが物足りなかった感じがする。
まっすぐあたっていく恭のぶれない想いが作品を一本貫いているのが、すがすがしくまたひとりの男子として気持ちいいものがあった。多少それを出すのに終盤子どもっぽさを出してしまったのは、「若さ」ゆえの、という見せ方にとどめて欲しかった。前半に齢より大人にしていただけに。
「これは恋のはなし」の重曹構造を思うに、本作品(原作者は別に居るけれど)のほうの世界の狭さがもったいない。話のひろがりが限界あって惜しかった。
(毎日無料連載で全編読了。)