作中の言葉です。
ここまで大切な人の死をリアルに描いている作品は、初めてでした。
ギャグ漫画家上野先生の実体験であり、そして奥様の死の直後からネームを作り始められています。
ご自身で本作について、生々しく作品としての客観性を欠いていること。
そして、時間が経過し客観性を持てた現在の方が、作品としてより良い表現ができるだろうと仰っています。
それでも表現者として描かずにはいられなかったとも。
泣けるだろうとか、感動するだろうといった観点から本作を手にすると、もしかして違和感を感じるかもしれません。
私が読みたかったのはイイ話でも、泣ける話でもなく、最愛の人を亡くしたリアルな部分でしたし、特別な期待感も無くフラットな気持ちで読み始めたので、逆に上野先生独特の表現に揺さぶられました。
ご自身のデリケート且つプライベートな部分を包み隠さず描くには、勇気と代償が必要で、そして何より心をどれだけ擦り減らしたろうと思います。
描いて世に出せば、もう消すことはできませんし。
なので、このような形で作品を描かれた先生に感服です。
この作品を読むことで、確実に今までより自分の中の「生」と「死」が輪郭を持つようになりました。
心構えになったというか、後悔は減らせるのかな。
そして恐らく愛する人を亡くした時に読みたいと思うのは、本作になると思います。
そんな日は、来て欲しくは無いけれど。