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江戸時代、富山の薬売りと妖怪とを絡めて描かれた、水戸黄門感あるシリーズ3話。『河童の妙薬』『ガマの油』『中将湯』、いずれもピタッと型にはまった感じが爽快です。人情味もあり、かといって押し付けがましくなく、読後感すっきり。作者さんに薬剤師勤務経験があるそうで、薬に対する確かな知識と意識がこの作品を下支えしている気がします。
時代考証がっちり、とは違う、フィクションとしての江戸時代劇。史実をベースにした上での匙加減がちょうど良かったと思います。各話、現代視点からの豆知識っぽいモノローグが入るんですが、渋い声でのナレーションが聞こえてそのままエンディングテーマに突入しそうな、いい意味で昭和感がある良作です。
星の数は、迷いに迷って5つ。アク強めが好きなタイプなので、私にとっては少々マイルドではある……んですが、ふと思い出しては読んじゃいそうな気もするので。