所属する集団と対立する組織の殺し殺されがストーリーを引っ張る。身近な人たちを次々失っていき、その激しい日々の中にも仲間との交流があって、敵のほうにも物語がある。そこが十分描いてある。この巻数のなせるわざ。
ストーリーというものがほんとに作者の手の中にある、ということをまざまざと見せつけるかのようなお話。
絵がかっこいいところをかっこよく、戦闘シーンは目を覆いたくなるほど残酷なはずなのに、そこには大義があり、使命感があり、熱い理想もあるためか、人対人の対峙が巻を追って新たな対象へ移る。
長編にありがちな、敵として出会い、仲間になっていくところも結構あった。
目を離せない、先を読み進めて、最後まで行く末を見届けたい、と思わせる巧みな展開であるが、ものすごい偶然とか作者の都合が、全くあざとく映らない作りには驚かされた。そんなことあるかい、というような嘘くさいドラマチックな仕掛けがちりばめられているのに、決していやらしく見えないのはすごい。
内容はきれいでなくむしろ血なまぐさいのに、絵が美しく、力強さがむしろ鮮やかな大立ち回りとして映える不思議さ。
日本を南から北まで何ヶ所も戦場にした地理的にダイナミックな構造が、文字通り革命を成功させた主人公達の熱血と合ってる。守旧派というか既得権益層、絶対的権力者側と、底辺からの巻き返しの勝利構造その意味では、この、支配者達の横暴に泣いた人たちの魂の解放は良かった。ただ、番外編で、再びやりきれない印象を持たされ、それもひとつのドラマとは思いながらも、最終巻迄全て付き合うと、晴れ晴れとはしにくいので、第27巻回避も一手かもしれない。
詩や歌の一節があったり、叙事詩の狙いもあったかとは思う。
人が亡くなるストーリーも争いの絶えない世の中を表す箇所も、逆に又話に必要なときは已むを得ないのだが、作者は一体何人あっさり斬ってしまわれたのだろう。戦記的に軽々と。。
しかし、数々のキャラの立ち位置は、どうも読後の今も私には不可解さは残る。
描きこみが細やかで何度も華やかなコマ作りには息をのんだ。作品全体に緊張感が多めで、あとがき等に出てくる「タムタムタイム」とのギャップがすごい。
男女ともキャラは美形を揃えている、といえる。残酷な場面の衝撃は和らぐが、キャラ各人がつかみどころのない性質なのが、裏をかくとかどんでん返しといったようなときに効果発揮。