それぞれの人生は完成したが、その綻びがまた元の恋を復活させる。幼い頃は、というか若い頃は自分の事だけを考えている期間。これから歩んでゆく人生に向かって努力する期間。けれど、若いうちに自分の事だけを考えていられなくなる場合がある。それが二人を引き離し結ばれる希望をむしり取る。本編は、なんら障害のない二人だったはずなのにアダムの不埒な行いによってマギーを傷つけ二人の間に溝を生むことになった。それを解決し和解していくものだが、アダムはマギーに甘えすぎなのがイラついた。しかし、それは逆に頼れる存在であることも意味する。洞窟に閉じ込められた子供を救うべくマギーは閉所恐怖症を抱えつつも使命とアダムの役に立ちたいがために救助に向かう。その過程で、恐怖を払拭すべくアダムの事を考えるマギーの可愛さに胸も目頭も熱くなり、何度も声援を送りたくなった。マギーが危険な目に合うとそのシーンは切り取られて回想シーンが差し込まれている技術は巧みで、グイグイと引き込んでいく。そして、たまに挿入される「救助」に対する社会的問題提起が益々読み手を唸らせる。アダムは二重の罪悪感を抱えそれでも後悔はしまいとマギーを追いかけてきてくれた事は拍手したい。